これぞオランダ農業!大規模&最先端なトマト農家視察レポート【オランダ施設園芸(施設栽培)農園見学】

こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。

「これぞオランダ!」なトマト農家を視察してきましたのでレポートします。

最先端のシステムや設備が整えられた、大規模なトマト栽培ハウスでした!

オランダのトマト栽培は有名なので、色々な情報や写真には事前に触れていたものの、やはり実際に視察するのはとても勉強になりました。

少しでも何かの参考になれば幸いです^^

最後にはオランダのトマト農園の全体像が分かりやすいビデオも掲載していますので、ぜひご覧ください。

では、いってみましょー♪

※ぼく自身トマト栽培の経験はなく、視察前に予習はしましたが、なにぶん情報が表面的な部分はご容赦ください。もし間違い等がありましたら、修正しますのでご連絡頂けば嬉しいです!

★今回ご紹介しているようなオランダの農業の視察サポートもおこなっています。ご興味ある方はこちらもご覧ください^^

こんにちは、オランダよりミズキです。 当ページをご覧頂きありがとうございます! これまでお問い合わせベースにて、オランダ農業視察をお手伝...
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さくっと概要を知りたい方はこちらへ

視察したのはオランダのゼーランド州のトマト農家

まず、今回視察させて頂いたのはオランダの南西部、ゼーランド(Zeeland)州の農園

ゼーランドはいくつもの島(名前の意味はSea Land)で構成された大部分が海抜ゼロメートル以下の州です。

ゼーランドは南部にあるので、オランダでも日照時間が長い方らしく、ハウスが多い地域だそうです。

農園に向かう途中もめちゃくちゃ広い農地とグリーンハウスが沢山見えました。

また、視察させて頂いた農園は日本から1年間農業研修に来ているTさんとKさんの研修先でもありました。

お忙しいところ詳しく案内&説明してくれたお二人に感謝です。ありがとうございました!

なお、視察は12月中旬に行いました。

ハウスの規模は合計8.4haも!

視察した農園には2つのハウスがありました。

新しい方のハウスが4.7ha(ヘクタール)、古い方が3.7ha合計8.4haのハウスを運営していました。

ハウス外観です。こういったオランダの温室はフェンロー型と呼ばれています。

フェンロー型温室は、ダッチライト型温室とも呼ばれる連棟型温室である。
施設園芸先進国であるオランダで開発され、骨材が細く採光性がよい。換気効率を高めるため一般的に軒高が高い。

【wikipediaより】

こちらが3-4年前に建設された4.7haのハウスの中。

様々な最新の設備が導入されていました。

そしてこちらが、古い方の3.7haのハウスの中です。

新しいハウスに比べてやや天井高が低いとのこと。

同農園のオーナーは約20年前にトマトの施設栽培を始めたそうなので、そのときに建てたのだと思います。

オランダのハウス平均作付面積は約3ha,日本は約0.5ha

ここで、参考までにオランダと日本の施設園芸平均作付面積(ハウスの平均規模)をみてみます。

経済産業省の資料【IT融合による新たな産業の創出に向けて(2011)】によれば、

オランダの施設園芸平均作付面積は約3ha

対して、日本の施設園芸平均作付面積は約0.5ha

つまり、オランダは平均で日本のハウスの約6倍の規模だということです。

また今回視察した農園は、オランダ平均の2倍の規模のガラスハウスになりますね。

少数の社員と多数の季節労働者&学生アルバイトで運営

この計8.4haを運営する同農園の社員はオランダ人が4名だけだそう。

その他の労働力として、季節労働者と学生アルバイトを活用していました。

同農園の季節労働者は、主にポーランドとトルコから、約20名が働いているそうです。

オランダには季節労働者専用の派遣会社があります。同農園は派遣会社2社から雇っていました。

また学生アルバイトは、夏の繁忙期は最大で50名程、夏以外でも週末に約20名を雇用しているとのことでした。

季節労働者よりさらにコストダウンできる学生アルバイト

ここでオランダの学生アルバイトについて少し深掘りします。

オランダは22才以下の最低日給が年齢毎に決められていて、年齢が若くなればなるほど日給が安くなります(下記参照)。


※2017年1月時点のオランダ最低自給【government.nlより】

例えば、16歳の最低日給は24.71ユーロなので、仮に1日7時間労働の場合の時給は約3.5ユーロ(1ユーロ=122円で427円)になります。

知り合いに聞くと農家の季節労働者の自給相場は約6ユーロ前後なので、学生アルバイトの方が季節労働者に比べ人件費的により安いんです。

オランダ大手スーパーなどのアルバイトは大部分が若い学生ですが、こういった事情も大きいと思います。

もちろん学生なので、季節労働者に比べてスキル等は、もしかしたら劣るのかもしれません。

また、以前訪れた大規模なイチゴ農園(計40ha運営)も同様に、繁忙期は最大で150人の季節労働者(主にポーランドから)を雇用していました。

こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。 Theオランダな、大規模なイチゴ農園を視察してきたのでレポートします。 ぼく...

このように、季節労働者を活用することで、オランダ人に比べて人件費をかなり抑えられますし(詳しくは上記イチゴ農家視察記事をご覧ください)、学生アルバイトは季節労働者以上に安い人件費で雇うことができます。

作物の単価が安いからこその、「大規模&大量生産」だと思うので、こういったところでのコストダウンはとても大事なんですね!

詳しい栽培方法と設備

同農園のトマトは養液栽培で育てられています。

栽培ベットを天井から吊り下げて床から離して栽培しています(ハイガター方式)。

培地にはロックウールを使用(固形培地耕)し、潅水(かんすい)チューブを使って水と養分を送っています。

また、トマトは最初に1つの株を2本の茎に分けて、そのあと即枝を増やして合計4本の茎に成長させるそう(その後最盛期を過ぎて光の量が一定以下になったら、トマトの負担を減らすため4本→3本に減らすとのこと)。

これは、下記のような意味があるようです。

近年のオランダでは,季節によって単位面積当りの茎数を変えている.
すなわち,1m2 当りの茎数は定植時の 12 月から春に光が強くなるまでは 1.8~2.0 本であり,その後光量が増加するにつれて側枝を増やし,最大には 4.0 本にするのである.
葉面積指数を季節によって変えるという方法は,光を有効利用する賢い考えと言えよう.

【高生産性オランダトマト栽培の発展に見る環境・栽培技術、fc.chiba-u.jpより】

季節や日射に応じて茎数を増やすことで、光を無駄にせず、光を最大限活用するんですね。

この「無駄にしない」「最大限活用」はオランダ施設栽培のキーワードのような気がします!

写真では見えにくいですが、この4本の茎は誘引(茎を紐に固定すること)の紐の色を変えることで区別&管理していました。

これは作業時に伸ばすべき茎(わき芽)を間違えないようにするため、また栽培後半に茎を4本→3本に減らす際に効率よく作業するためだそう。

また、トマトは上方に茎を伸ばしながら下に順番に果実をつけていくので、収穫する度に次の収穫作業がしやすいように、茎を引きずりおろし(つる降ろし)、苗床に巻きつけていくようです(ハイワイヤー栽培)。

視察時が12月だったので、約1年収穫された茎はとても長く苗床に巻かれていました。

通常は今以上に高い位置まで誘引しているそうですが、翌年の新しい苗の植え付け準備(片付け)に向けて、視察時の誘引の位置はだいぶ低くなっていました。

養液栽培のための様々な設備・システム

次にこの養液栽培に関わる設備・システムを写真でご紹介。

栽培ベット裏側。養液と水をトマトに送る潅水チューブが養液が送られてくる管に接続されている(青色部分)のが見えます。

また、同じく栽培ベッドの裏側にトマトの生育に欠かせない二酸化炭素を共有するビニールの管がありました(写真を撮り忘れていました、すみません!)。

左下の地面に付けられている管がハウス内を温めている温水管です。

後で説明しますが、これも作業効率を考えられて設置されています。

そして右に見える丸い大きな筒は、トマトの成長に必要な外気を取り入れる装置です。

この装置を使うことで、外気をフィルタリングしてハウス内に取りいれることができ、外部からの砂・害虫・病原菌などの侵入を防ぎつつ、安全に外気を取り入れることができるそう。

通常の開閉窓と比べて、システムでコントロールしているCO2濃度などへの影響も少なく、ハウス内の環境がより安定するのだそうです。

これは新しいハウスを建設した際に取り入れられた装置のようで、オランダでも最先端の装置だそうです!

もちろんハウス内の温度や湿度などはモニタリングされていて、最適な環境に制御・コントロールされています!

中玉トマトを主に栽培、品種は「ブリオッソ」

同農園では主に中玉トマトを栽培していました。

品種は「ブリオッソ(BRIOSO )」という品種らしいです。

また、少しだけ大玉とミニトマトも栽培していました。

※大玉トマトのレーン

年8ヶ月間は常に収穫し、合計36房も収穫できる生産性!

次に同農園のトマト栽培スケジュールについて。

ぼくが驚いたのは、年間を通して1~3月以外は収穫をしていることです!

1~3月は苗を定植(植える)し成長させる期間なので、収穫はできないそうですが、4~12月は常に収穫ができる(=収入がある)そうです。

また、2月以降は収穫作業と同時並行で、わき芽かき(不要な芽を摘むこと)・下葉かき(収穫後の不要葉を除くこと)・誘引などの管理作業を行うそう。

ここでわき芽かき・下葉かきの目的を自分の備忘録も兼ねて、

わき芽かきの目的は、

不必要な芽を取り除くこと。徒長や不必要な着花を防いだり、形を整えるために行う。わき芽だけを除くと頂芽に栄養分が集中し、よく生育し大きなよい花を咲かせられる。

【weblio辞典より】

下葉かきの目的は、

・トマトにそのまま葉をつけておくと、葉が混み合って風通しが悪くなり、病気や害虫の被害にあう原因になってしまう。
・葉が混み合って、光が通らなくなり、果実の色つきが悪くなってしまう。
・よけいな葉を残しておくと、養分が葉に回ってしまう。病害虫防除や、色つき、養分を実に回すために、葉かきを行いましょう。

【トマトの育て方.comより】

また、摘心(てきしん:側枝や果実を成長させるために茎の先端(成長点)を摘むこと)は、日光の強さが800J(ジュール:光エネルギーの単位)以下になったときに行い、結果的に1つの株から合計36花房(かぼう)も栽培できるそうです。

栽培方法などによっても違うと思いますが、日本の一般的な露地栽培では摘心は花房が5-7つの際に行うようなので、36花房も栽培できる同農法がどれだけ生産性が高いかが分かります!

そして、1花房から10果実収穫できるそうで、1つのトマトの木から合計で約360個(36花房×10個)のトマトが収穫できるとのこと。

なお、苗は購入しており自社での育苗はしていないとのことでした。これも効率を考えてのことだと思います。

作業は分業体制で、集中と効率化!

前述の各作業(わき芽かき・下葉かき、誘引、収穫)は、完全に分業体制で行われているそうです。

具体的には①わき芽・下葉かき、②誘引、③収穫の3チームに別れ各作業をしていました。

同じ作業に集中することで、作業のスピードと効率化を図っているんですね。

各チームにはスーパーバイザー(主任者)がいて、作業の進捗や監督をしているそう。

なお、上記の各作業をどれも早く正確にできる熟練者は、どのパートも担当できるのでとても重宝されるようです。

各作業の様子がわかる動画があったので、参考までに載せておきます(動画アップされている方に感謝です!)。

誘引作業の様子です。素人目にはテキパキしていて、すごいスピードだと思います!

下葉かきの様子。立った位置で作業できるので楽そうです。

そして収穫の様子。

主な病害虫と防除・対策

次に、伺った主な病害虫とその対策について簡単にご紹介します。

主な病害は灰色かび病(ボトリチス‐Botrytis)

同農園の主な病気は灰色かび病(英語ではボトリチス‐Botrytis)だそう。

灰色カビ病とは、

葉には褐色の大型円形病斑を生じ、茎や葉柄には暗褐色水浸状の円形病斑を生じる。〔中略〕古い花弁やがく片などが褐変し、その後、果頂部やへたの付近から果実へ病原菌が侵入し、開花前後のものでは褐変枯死して落果する。
〔中略〕ある程度生長した果実には、径1~2mmの黄白色円形の中心のある小斑点(ゴーストスポットと呼ばれる)を多数生じることがある。
〔中略〕灰色かび病は、施設栽培特有の病害で、冬季に多重被覆栽培し、施設内が多湿で太陽光線が少なくなくなることで多発する。密植したり、チッソ過多で茎葉が繁茂すると発生を助長する。
施設栽培では、換気を十分とり、乾燥条件にすることで被害を軽減できる。多発すると防除が難しくなるので、発病初期に防除することが大切。

【www.takii.co.jpより】

※灰色かび病例【www.pref.yamanashi.jpより】

※ゴーストスポット例【www.pref.yamanashi.jpより】

対策としては定期的に農薬散布を行い、発生を発見したら早期に取り除いて、塗り薬を塗って拡大を防止するようです。

また、灰色かび病を発見したら、外部から専門家を呼んで原因を調査し対策をたてるそう。

まさに野菜の医者!

オランダはこういった病害虫の専門家やコンサルタントがとても普及しているそう。

日本でもこういった専門家はいるんでしょうか?(詳しい方教えてください)

主な害虫はコナジラミ

そして、主な害虫被害としてはコナジラミだそう。

コナジラミとその被害とは、

コナジラミはトマトのハウス栽培で重要病害虫として扱われています。 〔中略〕一次被害は、吸汁による成長阻害です。
二次被害は、2つあります。 二次被害の一つめは、吸汁されることで、 黄化葉巻ウイルスなどウイルス病の伝播をひきおこすことがあります。
二次被害の二つめは、 コナジラミの出す排泄物(甘露)にすす病がでることがあります。 〔中略〕すす病にかかった葉は黒っぽくなり、光合成ができなくなります。 またすす病にかかったトマトの実も黒っぽくなり、商品価値が下がります。

【トマトの育て方.comより】

※コナジラミ例【トマトの育て方.comより】

主な防除方法として農薬散布とのこと。

日差しの強い夏は発生が少ないが、湿気や曇りの日が多く木が弱くなる冬は多くなるそう。

その他、同農園では害虫対策としてはこのようなフェロモン・粘着トラップも使用していました。

視察時は防護服着用と消毒

これは病害虫防除の基本だと思いますが、視察時には防護服と頭部ネットを着用しました。

そして、農場の入り口には手の消毒をしないと通れないゲートがありました。

これは別の農場での写真ですが、このような消毒用ゲートがありました。

オランダのトマトハウス内の農機・設備を写真でご紹介

次に同農園内の様々な機械や設備をご紹介します。

色々な箇所が機械化・自動化されており、生産性向上や労働コスト削減への工夫が伺えました。

自動で収穫カゴを輸送する機械

まずはこちら。これは収穫したトマトのカゴを自動で出荷場へ運んでくれる機械。

各レーンの横を自動で走行します。

これは手押しの収穫台。地面にある温水管を伝って動かせます。

これで各レーンのトマトを収穫し、上記の自動走行台にカゴを移すと、

自動走行台は農場の通路下に埋め込まれた電気のレーンを通って、

選別場まで自動で運んでくれます。

ここでも、自動で収穫したトマトのカゴを降ろして、次の収穫のための空箱を積みます(帰り道も無駄にしません!)。

そして収穫カゴはベルトコンベアを通じて選別場に自動で運ばれていきます。

農場が広く、出荷場まで結構な距離があるので、この機械は生産性に大きく貢献していると感じました。

高所作業用の昇降機

これは、高所作業用の昇降機。

誘引や摘花作業などに使用するそうで、電動で上下し、設定したスピードで自動でレーンを動いてくれます。

そして、この昇降機も温水管のレールの上を走行します。

電動の作業台車

作業用の電動台車です。

これは昇降はしませんが、一定のスピードでレーンを進み、足でペダル踏んでブレーキがかけれるようになっています。

葉かきや芽かきの時に使用するようです。

作業中に歩かなくていいので、とても楽みたいですよ!

消毒用の機械

この機械で消毒を行うそうです。

これも温水管のレールの上を走行するようになっています。

ハウス内の掃除をする機械まで

これはハウス内の掃除をする機械です。

モップみたいなのがチラッと見えています。

農場が大きいのでこういった機械も必須なんですね。

養液所、オーナーが100分の1ミリ単位で調節する

そしてここがトマトの栄養分をコントロールする養液所。

養液が混合される大きなタンクがあります。

この養液調整はトマトの生育にとても重要な作業なので、同農園のオーナーがph値など色々なデータや生育状況を元に、100分の1ミリ単位で調整するそうです。

多いときには1日32トンものトマトを収穫!!気になる収量は?

次に、同農園のトマトの収量について。

同農園の収量は、新しいハウスが10a(1反)あたり約50トン(50kg/㎡、500トン/ha)、古いハウスが約43トン(43kg/㎡、430トン/ha)だそう。

新しいハウスが4.7ha、古い方が3.7haなので、年間約4,000トンの収量になります!

規模が分かりやすいか微妙ですが、日本人1人あたりの年間トマト摂取量は8.9kg【2009年、カゴメHPより】らしいので、この農園では日本人約48万人分のトマト摂取量を年間で生産していることになります!

また、多い時には1日で32トンも収穫できる日もあるようです!

すごい生産性ですね!!

オランダと日本のトマト収量(単収)比較

ここで、オランダと日本のトマト収量の比較をみてみます。

【オランダ農業の競争力強化戦略を踏まえた日本農業の活性化策(2014)、www.jri.co.jpより】

これは2005~2011年度の各国のトマトのha当りの収量を示した表です(※露地栽培なども含む)。

2011年でみると、オランダはha当り約480トン(48トン/10a)、日本は約60トン(6トン/10a)です。

オランダは日本の約8倍のトマト生産量なんです!

データでみると相当大きく違うことが分かります。

(※ハウス栽培のみで比較すると3-5倍とのデータがありましたが、正確な出典が見つからず、上記表を採用しています)

オランダ施設園芸野菜の収量の推移(キュウリ、トマト、ピーマン)

他にも面白いグラフをみつけたので共有します。


【高生産性オランダトマト栽培の発展に見る環境・栽培技術、fc.chiba-u.jpより】

これはオランダ施設園芸における1980~2002年までのキュウリ、トマト、ピーマンの㎡当りの収量(kg)の推移です。

どの野菜も、コンピューターによる環境制御【1980年~】、ロックウール(RW)栽培【1983年~】、ハイワイヤー栽培・二酸化炭素(CO2)施肥・ハチ受粉【1987年~】、農薬・エネルギー削減【1995年~】などの、新しい技術や栽培方法の普及により、生産性が年々右肩上がりに伸びているのが伺えます。

このように革新的な技術や栽培方法を生み出し・採用していく中で、オランダの施設園芸は世界的に有名になっていったのですね!

素晴らしい変遷だと思います!

単価は安い!?卸売価格と主な販売先

次に同農園のトマトの卸売単価と、主な販売先について。

まず、卸売単価については、春から秋にかけては平均でkgあたり約1ユーロ(現在のレートで約120円)とのこと。

そして、冬など値が上がる時期でkgあたり約1.5 ユーロ(約180円)になるそう。

また、販売先はオランダ国内の大手スーパーと隣国のドイツ・ベルギーへの輸出がメインのようです。

どちらかというと輸出の割合が大きいようです。

日本のトマト卸売価格(2013~2014年)

ここで参考までに日本のトマトの卸売価格をみてみます。

【農林水産省より】

これは2013~2014年の日本の主要卸売市場でのトマトの卸売価格(円/kg)と数量(千トン)を示しています。

みてみると、卸売価格の下限はkgあたり約300円(約2.5ユーロ)、上限は約450円(3.75円)のようです。

視察した農園の卸売価格と比較すると、日本のトマトは約2.5倍で取引されていることが伺えます。

もちろんオランダは市場へのトマト流通量や、ヨーロッパ内での競争も激しいので一概には比較できませんが、低価格が故に、現在のような大規模化や自動化によるコスト削減&効率化が必須なのでしょう!

同農園がトマトの施設栽培を始めた経緯

同農園のオーナーは約20年前に独立し、このトマト栽培施設を建てたそうです。

オーナーの父親も農家で露地栽培をしていたそうですが、同オーナーは別の土地にハウスを建て施設栽培を始めたとのこと。

面白いのが、オーナーはもともと理科の先生だったそうです!

農業、特に施設栽培は液肥や環境コントロールなど科学的な面も強いので、強みかもしれませんね。

また、オーナーの兄弟も別の場所でトマトの施設栽培をしているそうです。

同農園で収穫したトマトは全てその兄弟の農場に輸送して、パッキング&出荷作業を一括しているとのこと。

これもきっと効率化とコスト削減に繋がっています。

オランダらしさを5つ紹介!

最後に、ぼくが同農園で感じたオランダらしさを5つご紹介します!

①水は無駄にしない!循環&再利用が基本

まずは、水について。

オランダでは「水」は貴重な存在です(もちろん地球全体でもですが!)。

国土の約4分の1が干拓地(ボルダー)のオランダは、地下水に塩が混じっていたり使えない場所も多いそう。

なので、オランダの大部分のハウスは雨水貯め・浄水して栽培に利用しています。

雨水を貯めるタンク。通常は外に設置されていることが多いですが、同農園はハウス内にありました。

ちなみに、オランダは一人当りの水道水利用量が128リットル/日で、先進国の中で低いようです【wikipediaより】。

それだけ水を大切にしている国なんです。

なので、視察したハウスにも水を循環・再利用する仕組みがありました。

トマトに与えられた養液(液肥と水)はこの配管を通して収集され、浄化・殺菌されて再利用されます。

培養液は,それまでは給液量の 30%程度を排液とするかけ流式で管理されていたが,環境対策として,2000 年から閉鎖系での栽培が義務付けられて,培養液のかけ流しはできなくなった.
〔中略〕 培養液を循環利用する際には,根腐れ病などの病害の蔓延を防ぐために,ベッドからの排液を殺菌して給液する必要性がある.これまでさまざまな殺菌法が試されたが,現在よく見られるのは紫外線 殺菌法である.

【高生産性オランダトマト栽培の発展に見る環境・栽培技術、fc.chiba-u.jpより】

オランダではこのようにハウス内の水の循環(閉鎖型)が義務付けられているんですね。

水を大切に、そして環境に配慮しているんです!

②オランダは労務管理もシステマチックに!

次にオランダ農業の労務管理について。

これなんだか分かりますか?

これは、各作業者が作業毎に作業コードを入力する機械です。

これにより、各作業にどのくらい時間を要したか、または収量と連動して、各作業員がどの程度収穫できたかが「見える化」されるんです。

スゴイですね!


【www.hortimax.nlより】

そして、収集された情報は休憩室に提示されるそうで、もしパフォーマンスが悪いと管理者やボスに指摘されたりするそう。

ここまで管理されているのか、と初めて聞いたときには正直驚きました。

反対にパフォーマンスがいいとインセンティブもあるようですが、作業員は手が抜けないですね。

作業者の心理的なストレスを除けば、作業効率を上げたり、パフォーマンス向上には効果ありそうです。

どこまでもシステマチックなオランダらしさを感じました。

③温水管が各作業用機械のレールになっている

これは前述しましたが、各作業用機械は栽培レーン間に敷かれた温水管をレールとして移動できます。

収穫台。

昇降機。

単純な仕組みではあるんですが、温水管も効率的に配置し、有効活用しているところにオランダらしさを感じました。

④専門のコンサルタントを活用している

以前のイチゴ農家の記事でも紹介しましたが、同農園にも施設栽培専門のコンサルタントが2週間に1回は来るとのこと。

そして、栽培状況を確認したり、様々なアドバイスをしてくれるそうです。

オランダの生産者はコンサルタントを雇っていることが多く、しかも天敵や経営など細かな部門にもそれぞれコンサルタントがいて、多くの生産者は複数のコンサルタントを雇っているそうです。そのため栽培も経営も効率的に行われていました。

【www.seiwa-ltd.jpより】

経営者だけの知識・経験だけの栽培でなく、外部からのコンサルタントを入れることで、生産性を最大化したり病害虫のリスクを最小化しているんですね!

⑤オランダは日本ほどトマトの味にはこだわりがない!?

これは同農園で研修されているTさんに伺ったり、普段オランダで生活していて感じることでもあります。

「トマトは日本の方が断然美味しい!」

特に冬季のオランダのトマトは水っぽいし味が薄く感じます(日射が少ないからでしょうか)。

同農園は糖度なども特段図っていないようです。

ぼくのオランダ人のイメージは、お昼は簡単なパンだけだったり、夜も下手したらフラドポテトだけなど、とても質素ですし、食へのこだわりが少ないイメージです(あくまで主観ですが)。

なので、日本人に比べると、トマトの甘さや味へのハードルが低いのだと思います。

以上、同農園で感じたオランダらしさ5点でした。

まとめ

以上、The オランダなトマト農園の視察レポートでした!

いかがでしたでしょうか?

日本との違いや参考になるところが感じられたら幸いです。

ぼく自身事前知識が少なく、勉強も含めた説明も多く、長文になってしまいました。。

ここまでご覧頂き、ありがとうございました!

もし、

「こんなところをもっと知りたい!」

「こういった作物も視察して来て!」

などありましたら、お気軽にお問い合わせくださいね^^

それでは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)でした!

(おまけ)オランダのトマト農園紹介ビデオ

オランダのトマト農園の設備や収穫~出荷までの様子が、とても分かりやすいビデオをご紹介します(今回視察した農園ではありません)。

大規模化な施設と、色々なところが自動化されている設備がみれますよ。

また本記事でも紹介した設備・栽培方法も含んでいます。写真では分かりづらいこともあったかもしれませんので、ぜひビデオでもご確認ください。

★オランダ農業視察のご案内はこちらより

今回ご紹介しているようなオランダの農業の視察サポートもおこなっています。

オランダ現地でしか学べない、感じれないことはたくさんあります。

ぜひ世界一のオランダの施設園芸をご覧にいらしてください。

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