オランダの大規模なイチゴ農園を視察しました!パート②【海外いちご(苺)農家見学】

こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。

前回に引き続き、オランダの大規模なイチゴ農家視察レポートです。

今回は、視察したイチゴ農園の、色々な施設・主な販売先と価格・季節労働者の活用・オランダと日本の違いなどを紹介しています。

パート①からご覧頂くと、より分かりやすいと思いますので、ぜひパート①からご覧ください。(パート①はこちらです)

ご参考になれば幸いです。

なおイチゴは、イチゴの品種改良の先進国であり、日本にイチゴを伝えてくれたオランダの名を冠して「オランダイチゴ」というのが正式な和名みたいですよ!【www.ars-edge.co.jpより】

では、いってみましょー♪

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その他の施設紹介

まずは、同農園の圃場(農地)以外の施設を写真を中心にご紹介。

s_作業倉庫と冷蔵庫1.JPG

作業用倉庫と冷蔵庫です。

s_作業倉庫と冷蔵庫2.JPG

広い作業場(画像がブレててすみません)。収穫時の選別や箱詰めなどを行う場所でしょうか。

s_作業倉庫と冷蔵庫3.JPG

冷蔵庫。

今はセロリがすこし積まれていました。

同農園では収穫時期以外にも施設を有効活用するために、近隣の農家からセロリなどの野菜を買い、パッケージだけを行って出荷しているそうです。

s_セロリ.JPG

こういった施設の有効活用も勉強になりました。

s_農機具や資材置場.JPG

農機具や資材置場です。

s_農機具や資材置場2.JPG

s_水のタンク.JPG

地下水を組み上げて貯めておくタンク。

結構大きなタンクでした。オランダは水が安いとのことです。

s_養液所1.JPG

ここは養液所です。

ここで液肥を混合し、作物の様子をみながら様々な液肥の割合をコントロールしているそう。

s_養液所2.JPG

この養液所は経営者自身がコントロールしていて、月に2度ほどくる農業コンサルタントにアドバイスをもらいながら調整しているそうです。

オランダは、特に施設園芸栽培の農業コンサルタントが普及しています。

コンサルタントが定期的に現場にきて色々な助言をするのも、農業先進国オランダならではと感じました。

主な販売先と卸売価格は?

次に同農園のイチゴの主な販売先と、大まかな卸価格について、参考程度にご紹介します。

主な販売先

同農園は商品の9割以上をオランダの大手スーパーマーケットチェーンである、アルバートヘイン(Albert Heijn)に卸しているそうです。

s_AHのマーク.JPG

倉庫にもアルバートヘインの水色のマークがありました。

アルバートヘインはオランダのどこの街でもみかける、オランダ最大級のスーパーマーケット

s_アルバートヘインのパック.JPG

こういった小売最大手と契約をしていることは、同農園の最大の強みだと思いました。

なお残りの1割は、ケーキ屋やお菓子屋さんなどに卸しているそうです。

平均卸売価格

友人Iさんによると、同農園のイチゴの平均卸価格は、主な収穫時期である夏季(6-8月)はkg当り4ユーロ

収穫が難しくなる時期(9ー10月)はkg当り10ユーロとのことです。

1ユーロ=120円計算だと、夏季(6-8月)はkg当り480円、収穫が難しくなる時期(9ー10月)はkg当り1,200円ということになります。

ここで参考までに、日本のイチゴの平均卸価格をみてみます。

日本いちごの平均卸価格(平成26年).png
【農林水産省統計より】

このグラフは2013年12月-2014年5月までのイチゴの卸売数量と卸売価格の推移を示しています。

ケーキなど需要が多いであろう12月でkg当り約1500円最も出荷数が多い3月でkg当り約1,000円でした(※最も高値で取引される夏イチゴは含まれていない)。

あくまで参考値ですが、視察したオランダのイチゴ農家の卸売価格を比較すると、日本のイチゴの方が高値で取引されているようです。

また参考までに、オランダの2013年のイチゴの生産量は5.1万トン(5,100万kg)【freshfruitportal.comより】。

同様に日本の2015年のイチゴの生産量は15.8万トンでした【農林水産省統計より】

(※日本の人口はオランダの約7倍、農地はオランダの約2.4倍です。)

季節労働者の活用!

次に、同農園の「季節労働者」の活用についてご紹介します。

規模が大きい農園だけに、季節労働者の規模もとんでもないです!

なんと、一番忙しい収穫期(夏)には同農園全体(40ha)で約150人ほどの季節労働者を雇用しているそうです。

150人ですよ!

そして同農園は、その季節労働者のために最大160人が生活できる寮を保有しています。食事もケータリングで提供しているそうです。

日本とはスケールが全然違いますね!

同農園は東ヨーロッパ(主にポーランド)から、比較的安いコストにて季節労働者を雇用していました。

ポーランド地図.gif

※ポーランド地図【Wikipediaより】

Iさんの話では、同農園は平均時給6ユーロでポーランド人を雇用しているそうです。

以前の記事で調べたところ、全業種(※農業のみではない)での統計ですが、オランダの平均時給は25ユーロでした。
(参考:オランダの「労働事情」が数字で見えてきた!

また、オランダ政府が定める2016年の23~65才のフルタイム雇用の最低時給は8.8ユーロ(週40時間)です【orandanow.comより】。

このように、季節労働者を相当安いコストで雇用できている計算になります。

これは経営には非常に大きなアドバンテージではないでしょうか。

また反対に、Iさんの話だとポーランド人が自国の農家で働く場合の平均時給は3.5ユーロだそうです。

ポーランド人にとっても季節労働は自国の約2倍の給料がもらえるメリットがあるんです!

まさにWin-Winの関係ですね。

就業やビザの規制がない、まさにEUならではのアドバンテージだと思いました。

またIさんの話では、ポーランド人はとても真面目で仕事が早いそう。

そして自国で農業の経験が多い方も多く、技術もあるようです。

オランダの農業経営者からすると、ポーランド人を雇用しない理由はないですね。

ただし、英語は不得意のようで、同農園の経営陣にポーランド語を話せる人がいるので対応できているそうです。

Iさんも研修中に既に簡単なポーランド語を習得していました!ポーランド語を通訳してくれる姿はカッコよかったです。

なお、同農園では時期に合わせて季節労働者を調整しているので、ぼくが視察した10月末時には約20名程の季節労働者が雇用されていました。

研修生Iさんの感想

前述の通り、同農園は日本からオランダに農業研修に来られた、友人Iさんの研修先です。

Iさんはオランダに来る前にも、日本のイチゴ農家でも数ヶ月間研修されていたそうです。

そんなIさんより、オランダと日本のイチゴ栽培の違いについて感じるところを伺いました。

オランダにて約1年の研修プログラムをされているので、下記以外にも沢山感じられるところがあると思いますが、ぼくが伺った一部をご紹介します。

オランダのイチゴ栽培は作業が雑だけど、日本と収量や味があまり変わらない!?

Iさんによれば、同イチゴ農園は日本と比べると各作業の「スピード」に重点をおいていて、反対に「丁寧さ」にはあまり重点をおいていないと感じるそう。

そして、それでも日本のイチゴ農家と収量や味があまり変わらないので、日本のイチゴ栽培でも、よりコストを抑えて経営をできるのでは?と感じているそうです。

例えば作業において、下記のような違いがあるとのこと。


●日本では養分の分散や病害虫の発生を防ぐために、枯れ葉や古い葉を取り除く作業を、オランダでは特に行わない。同様に余分なランナーやわき芽も、余裕がない限り取らずに収穫に集中する。

●日本ではランナーの苗床への植え付け作業は、ピンを用いたり丁寧に行うことで苗の活着を促すが、オランダではランナーを逆さまに苗床に置いていくだけ。だから作業のスピードが早い。

s_ランナーの植え方。.JPG
見せてくれたランナーの植える向き。根は自然にでるし、この向きのほうが収穫時に効率的だとのこと。

●日本では苗の定植時に、浅植え・深植えなどに注意して丁寧に定植するが、オランダはスピード重視で、例えば根が少し出ていてもあまり気にしない。

●日本では定植後に、1つ目の花を摘む(摘花)ことで2個目以降の実の大きさを揃えたりするが、オランダでは大きさのバラツキは市場があまり気にしないので、行わない(これは市場の違いも大きいですが)。


このようにオランダでは作業において、その「スピード」が重視されている=作業が雑だと感じることが多いとのこと。

ですが、それでも同農園では10a当り2.5トン(1ha当り約25トン)のイチゴを収穫できているそうです。

なお農林水産省の統計によると、2015年の日本のイチゴの10a当りの平均収量は2.9トンでした(日本は促成栽培も盛んで収穫期が長く、ハウス栽培で環境制御がしやすいことなども年間収量が多い要因かもしれません)。

ただ、「1株当りの作業量」ではオランダが圧倒的に少ないと感じるそうで、オランダのイチゴの栽培は作業の効率化や、大規模な農地では有効なのでは?と感じているそうです。

栽培の規模が大きくなると、作業の効率化や、作業自体の省略も大事な考えなのですね。

s_視察した農園(ネット).jpg

【www.geschildeasperge.nlより】

また、イチゴの味もあまり日本と変わらないとのこと。

ぼくも同農園のイチゴをたくさん頂きましたが、普通に甘くて美味しく、日本のイチゴとの味の違いはあまり感じませんでした。

このように、Iさんは研修をされていて、日本のイチゴ栽培と比べ「これでもいいんだ!」「これでもなるの?」と思うことが多いそうです!

オランダに研修に来たことで、育成の仕方や根本的な価値観の違いがみえ、とても面白くて勉強になっているとのことでした。

研修での楽しい&大変な時

Iさんに同イチゴ農園の研修において楽しい時、大変な時を伺いました。

一番楽しい時間はやはり、収穫時期だそう!

s_ガラスハウス4.JPG

収穫していると夢中になり、いつの間にか時間が経っているそうです。

いいですね♪

話を聞いているだけで、ぼくも収穫作業お手伝いしたくなりました(いちごも沢山食べたい)!

反対に大変な時間は、育苗中の花の摘み取りだそうです。

腰をかがめる作業になるので、身体的に辛いとのことです。

s_育苗用ほ場1.JPG

農園の規模が大きいだけに、機械で対応できない、体に負担の大きい作業は大変だろうなと感じました。

ビデオでみるオランダのイチゴ栽培過程

最後に、同農園のイチゴ栽培の様子が分かるビデオをご紹介します。

オランダ語ですが、圃場の様子や収穫・出荷の様子がみれます。

※イチゴは4分20秒くらいからです

まとめ

以上、オランダの大規模なイチゴ農園の視察レポートでした。

オランダならではの仕組みや効率的なところ、そして栽培や経営における考えが伺え、とても勉強になりました。

ご参考になれば幸いです。

今後も色々と農園や企業を視察していきたいと思います。

それではご覧頂き、ありがとうございました。

オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)でした^^

(オランダイチゴ農家視察レポートのパート①はこちらより)

PS:今回視察をさせて頂いたIさん本当にありがとうございました!

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コメント

  1. 鷲山 英喜 より:

    初めまして、福島県会津若松市在住の鷲山と申します。現在、NPO法人の理事をしています50歳過ぎのおじさんですが、ミズキさんのブログをいつも楽しみに拝見しています。来年から会津大学の学生と農業を試みようと計画をしています。福島県は未だに原発の風評被害が残っていて、路地栽培よりも施設栽培を考えています。オランダは食物自給率も高く、更に施設栽培の先進国と聞いています。もし、可能であれば近々にミズキさんに会いにオランダに行っても良いでしょうか?突然ですがよろしくお願いします。

    • ミズキ より:

      鷲山様、はじめまして。この度はご連絡頂き誠にありがとうございます!大変嬉しく思います。私でよければ、ぜひお会いさせてください。頂いたメールアドレスに追ってご連絡させて頂きますね。どうぞ宜しくお願いします。ミズキ