世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農家(生産者)の数編】

こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。

世界の有機農業事情を知りたい!っということで、今回は世界の有機農家の「数」に焦点を当ててのレポートです。

前回は世界の有機「農地」について調べました。
(参考:世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農地の規模編】

今回も世界の有機農業について現状や、トレンドがみえてくればと思います。

もちろん日本との比較もしていますよ。

それでは早速いってみます♪

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世界の有機農家数は約230万人(2014年)

まずは、世界全体の有機農家の数をみていきます。

FiBL(世界的な有機農業研究機関)のレポートによれば、2014年の世界の有機農家数は約230万人※とのことです。

230万人ってどのくらいかというと、

世界の人口は現在約73億人なので、世界の人口の約0.03%。

世界中の農家数は推定5.7億人(2014年)なので、世界の農家の約0.4% 【globalagriculture.orgより】 

日本でいうと愛知県の法定人口が226万人なので、愛知県の人口とほぼ同じです【Wikipediaより】。

世界の農家の約0.4%って、有機農家はめちゃくちゃ少ないですね!

有機農家は世界の農家のうち100人に1人もいないんです。

前回記事より、世界の農地の有機農地の割合はわずか0.99%だったので、まあ妥当な数字だとは思いますが、それでも少ないですねー。

(参考:世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農地の規模編】

※調査国によっては農業法人数しか把握できてなかったり、そもそも農家数を把握できていない場合もあるので、あくまで推定値です。なので実際の有機農家数は上振れする可能性が高いとのこと。

1年で世界の有機農家数は13.4%増加している
★大陸ごとの農家数と増加率(2013年→2014年)

次に大陸ごとの有機農家数をみてみます。

世界の有機農家数の大陸比較(2014)と割合(作成グラフ)by FiBL-World of Organic Agriculture

(単位:ha)【 FiBL-World of Organic Agricultureよりミズキ作成】

これは2013年と2014年の世界の有機農家数とその増減の割合を大陸ごとに示した表です。

まず世界全体(グラフの合計)でみると、2013年から2014年の1年で有機農家数は13.4%増加しています。

これは、素晴らしい傾向ですね!

2013年から2014年と短期間ですが、世界的に有機農業が増加しているトレンドが伺えます。

日本やヨーロッパでみても、全体の農家数は年々減少傾向にあるのに、有機農家は増加しているのです!

(参考:オランダ農業の「農地」について詳しく調べてみた

そして大陸ごとにみていくと、われらがアジアが最も有機農家の増加率が高く+24.1%となっています。

しかも2013年と比べるとアジアの有機農家は1年で約18万人も増えていて、他の大陸と比べても、アジアは劇的に有機農家数が増加しています

もちろんアジアは世界の人口の6割をしめているので、増減の影響は大きいです。

でもそれは、アジアはトレンドの影響を一番大きく受けやすい大陸だともいえます。

すなわちアジアで有機農業がもっともっと盛んになれば、世界の有機農家は爆発的に増えるということ。

アジアで有機農家が増えることは、世界の有機農業の発展にも大きく関わるので、とてもいいことですね!

反対に、ヨーロッパやその他の欧米諸国は、有機農業がアジアより発達し、既に文化として根付いているので、直近での増減はあまりないのだと思います。

実際に、ヨーロッパの人口はアジアの約6分の1ですが、2014年の有機農家数はアジアの約3分の1です。=ヨーロッパはアジアより有機農家の割合が高い。

ここからもヨーロッパがいかに有機農業が進んでいるかがみえて面白いですね!

まとめると、有機農家の「数」でみたらアジアが最も多く、また増加率もダントツです。

ただし、各大陸の人口における有機農家の「割合」でみると、ヨーロッパはアジアに比べて有機農家の割合が高いです。

アジアとアフリカは有機農家の数がスゴイ!
★大陸でみた有機農家の割合(2014年)

上記より、アジアは2014年の有機農家数が約90万人で、ほかのどの大陸よりも有機農家数が多かったわけですが、それは世界の有機農家数のどの程度をしめるのでしょうか?

わかりやすく円グラフにまとめてみました。

大陸別世界の有機生産者の割合(作成グラフ)by FiBL-World of Organic Agriculture

【 FiBL-World of Organic Agricultureよりミズキ作成】

これは2014年の大陸別の有機農家の割合を表した円グラフです。

みてのとおりですが、アジアの有機農家の割合が40%で最も高く、次に割合が高いのがアフリカで26%です。

個人的に興味深いのは、前回の記事よりアジアは世界でみた有機「農地」の割合が6大陸中3番目に小さい(8.2%)にも関わらず、有機「農家」の割合が世界で1番多いことです。

アフリカも有機「農地」の割合が6大陸中1番小さい大陸だったのに、有機「農家」の割合が世界で2番目に多いんです。

世界の有機農地規模の大陸比較(2014)と割合(作成グラフ)編集 by FiBL-World of Organic Agriculture.png
【前回記事:世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農地の規模編】より】

アジアやアフリカは途上国がほとんどなので、大規模な農業(大規模な農地がそもそもなかったり)や、機械類が発達しておらず、途上国は労働集約型の農業がメインということでしょうか。

反対に、世界の有機農地の割合ではトップ2だったヨーロッパやオセアニアの有機農家の割合が、その他の大陸に比べて低いのは、先進国は機械を導入した効率的で大規模な農業(土地利用型農業)がより発達している証拠かもしれませんね。

今後、オランダでの有機農家の視察の際は、その規模や効率化している点などを意識してみてみようと思います。

有機農家が多いのは発展途上国
★国別有機農家数トップ10(2014年)

次に国別に有機農家数をみてみます。

ここでは、世界の有機農家数トップ10から傾向をみてみます。

有機農家トップ10 編集 by FiBL-World of Organic Agriculture.png

【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

これは2014年の世界の国別有機農家数の上位10ヶ国を示した表です。
(※インド・メキシコ・タンザニア・エチオピアは2013年のデータ)

まず、みてのとおりインドの有機農家は65万人で圧倒的1位です。

インドは2位ウガンダの約19万人の約3倍も有機農家がいるんです。

インド人の有機農家がめちゃくちゃ多いことがわかりますね!

india

ちなみに、このインドの65万人の有機農家が、インド全体の農家のどの程度の割合を占めるかといいますと。

インドの2011年の農家数は合計1.18億人なので、有機農家の割合はインド全体の農家の約0.55%程しかいないことになります【hindustantimesより】。

有機農家数で圧倒的1位のインドでも、有機農家はインド全体の農家の約0.55%程度しかいないんですねー。

さすが人口約13億人のインドでした!!

また、インドに続く有機農家が多い国は、ウガンダ、メキシコ、フィリピンなど、インドもそうですが発展途上国がほとんどを占めている特徴があります。

10位のイタリア(約4.8万人)以外は、全て発展途上国でした。

これはやはり途上国だから、昔ながらの農業(労働集約型)が大部分を占めているということでしょう。

そしてこれから国が発展するに従い、国民はより多くを求めますし、食料も当然多く求めます。

先日ニュースで裕福なインド人の結婚式では食料を大量に消費し、それが大量に余って処分されて問題になっているといった話を読みました。

そういった中で有機農家はより多くの収穫量や効率的な農業を求め、機械化や農薬や化学肥料を使用し始め、徐々に慣行農業に変わっていくんだと思います。

どの国の農業も短期的な結果を求め、慣行農業の長期的なデメリットがみえず、同じような歴史を繰り返しているんでしょうね。

そして反対に、現在ヨーロッパを始めとした先進国ではじわじわ有機農業や持続可能性が意識されている。。

仕方がないことだとは思いますが、少しずつでも先進国で有機農業の重要性がより意識され、それが途上国にも早く伝わるようになればいいですね。

日本の有機農家数はどうなの?

ちなみに、日本の農家数は2010年で1.2万人でした【農林水産省より】。
※有機JAS:4千人、有機JAS以外:8千人の内訳

日本全体の農家数が253万人なので、日本全体の農家のうち0.5%が有機農家です。
※有機JAS農家に絞ったら0.15%

参考までに、有機農業が進んでいるといわえるヨーロッパと比較してみてみましょう。

上記の世界トップ10の有機農家数にランクインして、有機農家数が約4.8万人のイタリアはといいますと。

イタリア全体の農家数が約340万人(2010年)なので、イタリアの農家のうち約1.4%が有機農家ということになります【eurostatより】。

イタリアは日本と比べると、約4倍の有機農家数がいて、農家全体における有機農家の割合でみても約3倍多いことがわかります!

ちなみに、私が住んでるオランダの有機農家数は1,706名(2014年)でした【 FiBL-World of Organic Agricultureより】。オランダ全体の農家数は19.3万人なので、オランダの有機農家の割合は全体の約0.9%です【European Commisonより】。

やはり有機農業先進国のヨーロッパに比べると、日本は有機農家が少ないことがわかりますね。

まとめ

以上、世界の有機農業を「農家数」という視点で調べてみました。

いかがでしたでしょうか?

ぼくは世界全体でみても有機農家はまだまだ全然少ない(全農家の約0.4%)ってことが数字でよく理解できました。 予想以上に少なかったです。

ただ、有機農家数が増加傾向にある(特にアジア!)ことがわかったのは嬉しかったです。

そして、やはりヨーロッパは有機農業が進んでいることがわかりましたね。

また、発展途上国は自然と有機農業が普通に行われている現状もみれました。個人的にはそのまま残って欲しいです!

それでは、ご覧頂きありがとうございました。

次回は、有機製品の消費量などを調べてまとめる予定です。

オランダより ミズキ(@yMIZUKI8)でした^^

ご興味あれば前回記事もご覧ください!
世界の有機農業(オーガニック)事情を知りたい!【有機農地の規模編】

参考資料はこちら

今回の記事の主な参考文献はFiBL(世界的な有機農業研究機関)発行の「World of Organic Agriculture 2016」です。

本調査について調査対象国を簡単に説明をしておきますね。

本調査の対象国は下記の通りになっていて、世界各国の76%の国をカバーしています。

調査対象国 編集 by FiBL-World of Organic Agriculture.png

【 FiBL-World of Organic Agricultureより】

アフリカやオセアニアの小国は特にデータが存在しない場所もあったのでしょうか、カバー率がやや少なくなっています。

対象範囲をお伝えしておくのはこのような調査では特に重要なので記載しておきます。

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