オランダ農業の新構想、サーキュラー・アグリカルチャー(循環型農業)とは?:女子大生オランダ農業ビジネス留学⑥【オランダ農業とつながるインターン生】

皆さんこんにちは!

オランダ農業とつながるライターインターン生の佐藤です。

今日は、オランダの「サーキュラー・アグリカルチャー(循環型農業)」について記事を書きたいと思います。


気になって、カタカナで「サーキュラー・アグリカルチャー」とGoogleで検索したものの何もヒットしなかったので、まだ日本語では情報が出ていないのかな?と思います。

まず、みなさんは”サーキュラー・エコノミー(循環経済)”という言葉を聞いたことがありますか?こちらは最近日本でもよく使われるようになりました。

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サーキュラー・エコノミーとは?


国立環境研究所の説明が詳しいので以下引用させて頂きます。

これまでの私たちの経済活動では、自然界から資源やエネルギーを取り出し、それらを使って製品を生産・消費することで価値を産み出し、消費を終えた製品は自然界に廃棄されるというのが主な流れでした。

こうした経済は、消費された資源をリサイクル・再利用することなく直線的に廃棄してしまうため、直線的(Linear)にモノが流れる経済(Economy)ということでリニア・エコノミー(Linear Economy)とも呼ばれます。

リニア・エコノミーでは、自然界から取り出された資源やエネルギー、そしてそれらを用いて生産された製品が一度きりの「使い捨て」の形で消費されてしまいます。

その結果として、既に私たちの社会では資源やエネルギーの不足、地球温暖化、廃棄物処理などの環境問題が現れており、そうした問題に立ち向かうためには、これまでのリニア・エコノミーの下での経済活動をより環境への 負荷が少ないものへと転換することが必要です。

その一つとして、資源や製品を経済活動の様々な段階(生産・消費・廃棄など)で円を描くように循環(Circular)させることで、資源やエネルギーの消費、廃棄物の発生を少なくすると同時に、その循環の過程でも価値を産み出すことによって、経済成長と環境負荷の削減の両立を目指そうという経済(Economy)の概念が提案されており、

これが最初に述べたサーキュラー・エコノミー(Circular Economy)です。日本でも似たような概念として、資源や製品の循環を通して環境への負荷を減らす「循環型社会」というものがありますが、「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」では、環境への負荷を減らすだけでなく経済成長も同時に実現しようという点が「循環型社会」と異なる大きな特徴です。


(国立環境研究所から引用

オランダ政府ホームページより

サーキュラーエコノミー(循環型経済)はオランダがとても力を入れています。

そんな流れの中で、昨年後半には、オランダの農業・自然・食品品質省(日本でいう農林水産省。国によって省庁の区分が違くて面白いですよね^ – ^)のCarola Schouten大臣がオランダの農業のサーキュラー・アグリカルチャーへの移行とそれに伴い必要なことをまとめた概要構想を発表しました。

ワーヘニンゲン大学(WUR)により昨年夏前に提出された案が協議され、こういった運びとなっようです。

オランダ 農業・自然・食品品質省 Carola Schouten大臣(www.limburger.nlより)

オランダ農業が目指すサーキュラー・アグリカルチャー(循環型農業)とは?

オランダ 農業・自然・食品品質省のサーキュラー・アグリカルチャー移行への構想を示した資料には、「サーキュラー・アグリカルチャーへの移行が、未来の食料供給を安全にするただ一つの方法」と結論出しています。


この資料から大事なポイントを以下に訳しまとめてみました(^ ^)

 

−−−−−−【以下資料要点を和訳】−−−−−

サーキュラー・アグリカルチャーのシステムでは、下記のモットーを掲げ、耕作・畜産・園芸の分野がお互いのサプライチェーンから原料を、または食品業界や食品サプライチェーンからの廃棄物を主に使用します。

サーキュラー・アグリカルチャーのモットー

  • なるべくローカルに、もし必要なら地域や国際的に行う。
  • 余剰作物や、余剰食品、加工の過程で出た廃棄物、動物の糞尿、コンポストなど農業セクターや食品サプライチェーンからの余剰は、再利用か新たな製品に再加工する。
  • 「サーキュラー」な企業はなるべく少ないエネルギーを用い、再生可能エネルギーをできるだけ使用する。

www.agroberichtenbuitenland.nlより


以下、サーキュラー・アグリカルチャーのセクターごとのあり方になります。

「畜産」におけるサーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)とは?

サーキュラー・アグリカルチャーでは、効率的な原料(ローマテリアル)の使用という点で、畜産が重要な役割を果たします。

2030年に向けたオランダ政府の畜産セクターの目標は下記になります。

  • 栄養サイクルのサイズを減らすこと
  • 可能な限りクローズド・ループ(循環型)にすること
  • 食品・廃棄・炭素・エネルギー・水のロスを最大限に避けること

サーキュラー・アグリカルチャーでは、畜産業において、自分たちで育てた、又は周辺地域または地域の生産者から買ったエサをより使用するようになること。

また、人間の食品業界から出た廃棄製品や副産物をエサとして使用するようになることが結果として見られます。

これらはすでに様々な革新的な養豚・養鶏業者では大規模に急増しており、サプライチェーンの各パートナーと協働することで収益性のあるモデルを作ってきました。

食品残さを飼料にしているオランダの養鶏企業Kipster(写真は同社HPより)

みなさんこんにちは! インターンの佐藤です^ ^ 私の通う学校では2学期が終わり、ドキドキハラハラ、テストの結果を待っているところで...

また、畜産飼料会社も率先して、近辺から運ばれる原料から新たな飼料を作っており、こういった先駆者からの知識は幅広く活用可能です。

また、持続可能で低排出な動物の住居や飼育システムは温室効果ガス・アンモニア・匂い・微粒子の排出を減らす・避けることが出来、人へも動物にとっても生活環境が改善されます。

放牧地へのアクセスは動物福祉の観点でも眺望の観点でも社会に高い価値があります。

 

「畑作」におけるサーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)とは?

サーキュラー・アグリカルチャーにおける畑作のあり方は、より正確で洗練された耕作計画・施肥・病気/害虫/雑草予防を応用し、土壌の容量に合わせた耕作です。

近代の育種やセンサー技術・ロボットの助けを用いた「精密農業」がこの過程において頼りになります。

または、ストライプ・クロッピング、アグロフォレストリー、パーマカルチャー等を含む、未来の約束された先駆的な取り組みが紹介されつつあります。

precisionagricultu.reより

「施設園芸」におけるサーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)とは?

オランダの施設園芸はすでに多くのサーキュラー・システムの特性を備えています。

しかし、水の品質・持続可能なエネルギー供給の向上等はまだまだと言えます。

サーキュラー・グリーンハウス(循環型温室)では、下記のように生産が行われます。

  • 食物生産やパッケージにおいて、土壌・水・空気中への二酸化炭素排出なし。
  • 可能な限り少ない量の水が使用され、生産はできる限りクライメート・ニュートラル(気候中立)に。
  • 地熱や別のセクターからの廃棄熱をできる限り使用。
  • 植物の生育を促進する二酸化炭素は空気から抽出されるか、産業から捕らえ、グリーンハウス内で再利用。

施設園芸では、サプライチェーンや生産地域(グリーンポート)での身近なコラボレーション、消費者に近いクローズド・システムでの生産、社会課題に沿う良い基盤を形成するような強く革新的な素質があります。

オランダの約600以上の温室には、石油精製工場などから排出される二酸化炭素が回収されて利用されており、年間200,000トン以上の二酸化炭素が削減できている。(写真はwww.ocap.nlより)

「水産」におけるサーキュラーアグリカルチャー(循環型農業)とは?

海底との接触、望まないバイキャッチ(混獲)、炭素排出量の減少、海洋環境における健康な魚のストック(量)の維持、漁師の相当の暮らしができる稼ぎ、自然面と経済面での持続可能性を向上させること。

新たな可能性としては、海上ウィンドファーム(集合型風力発電所)と協働し、甲骨類や貝、海藻、藻類の繁殖を行うこともサーキュラー・アグリカルチャーの中で言われています。

link.springer.comより

 

サーキュラー・アグリカルチャーの規模感は?

<地域規模>

例として、畜産農家が地域の畑作農家と地域内での高品質な有機家畜飼料の生産を行う同意をとり、一緒に働くことができます。

オランダのBetuwe、Vechtdal地域では長年行われていますが、地域の特産品を生産することで他地域と差別化でき、さらに土壌や水、眺望が地域ごとに異なる点でも、地域レベルでのサーキュラー・アグリカルチャーに向けた協働は最もよい方法であると言われています。

<国際規模>

国境を超えた規模でもサーキュラー・アグリカルチャーは行われます。

原材料を海外から多く輸入するオランダでは、そのポジションの強みを活かし、持続可能で「サーキュラー」な認証を受けた製品を排他的に輸入し、世界の他の地域にも影響を及ぼすことができます。

同時に、「サーキュラー」なマナーに基づいた廃棄物を食品の輸入と同様大規模に輸入し加工しています。

WURのHPより

オランダは基礎研究と応用的な研究の間のコラボレーションが緊密で、新たな知識をビジネスのセクターに応用できるというポジティブな経験があり、イノベーションが素早く国外国内で市場への道を見つけることができます。

2030年までにオランダはサーキュラー・アグリカルチャーの牽引者となることを目標としています。

−−−−−−【和訳終わり】−−−−−

まとめ

日本でも地域でのこういった協働って行われているのでしょうか?

ちなみに最近の学校でのプロジェクトでは、マンゴーの廃棄部分を鶏の餌に技術的に/経済的に再加工できるか?という課題を実際の企業から頂き、グループでリサーチをしていたところです。

アップサイクル」と言われますが、廃棄を資源として見て、さらに価値付けるこの動き、日本でも地域レベルだったら出来るのではないかなぁとワクワクしています。

オランダの、環境的に経済的に社会的に良いサーキュラー・アグリカルチャー、いかがでしたか?

私も今後追って調査していきたいと思います。

ご覧頂きありがとうございました!

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