考えさせられるキャンペーン!オランダの有機野菜・フルーツ流通大手Eosta社訪問レポ

オランダの有機野菜・フルーツ流通大手Eosta社の訪問レポートの第三弾です!

同社はオーガニック製品の普及や持続的な農業・環境問題などについて、様々なキャンペーンを行っていました。

そのアイデアや規模に、とても感銘を受けたのでいくつか紹介したいと思います。

有機野菜を広めている方や、農業に関連した様々なキャンペーンを行っている方の参考になれば幸いです^^

(前回記事もぜひご覧ください:Eosta社の概要Eosta社のマーケティングがスゴイ!

スポンサーリンク

さくっと概要を知りたい方はこちらへ

1 cent for the future(1セントを未来に!)

まずは、「1 cent for the future」というキャンペーン。


※「1 cent for the future」キャンペーンロゴ【nature & moreサイトより】

これは、特定の野菜やフルーツを1キロ売るたびに1セント(1ユーロの100分の1)を慈善事業に寄付しようというキャンペーンです。

注目すべきは、各慈善事業は各製品を栽培している生産者に、「直接的」に関係のある地域や事業となる点です。

具体的な例でいいますと、ブラジルの有機マンゴー農家からマンゴーを購入すると、1キロのマンゴー当り1セントがブラジルの伝統的な音楽を保存する団体やイベントの運営費として寄付されたり。また、ギリシャの有機レモン農家からレモンを購入すると、1キロのレモン当り1セントが、不況で職を失った同国の若者をサポートする団体に寄付されたり。nature & moreサイトより】

このように、各生産者に直接関わりのある慈善事業に1セントが寄付されるので、消費者は同社の有機野菜やフルーツを購入することで、慈善事業を間接的に応援できます。

なにより、生産者側も自身のコミュニティや地域をサポートできる(される)ことで、購入者に「ありがとう!」と感謝の気持ちもより膨らみます。

そしてそれは、おいしくて安全な有機野菜・フルーツを生産する生産者のモチベーションになります。とてもイイ循環が生まれますね!

※生産者イメージ【nature & moreサイトより】

この各慈善事業が各生産者に「直接」関係するところが、素晴らしいアイディアですね!

Bees love organic(ミツバチはオーガニックが好き)

このキャンペーンは、慣行農業の農薬(ネオニコチノイド系農薬)や地球温暖化によるハチの病気などが原因で、世界中で数が減少しているミツバチを救うために行われました。

※ミツバチのイメージ【nature & moreサイトより】

同キャンペーンサイトによれば、地球上の3分の1の食料がハチたちによって授粉を媒介されているそうで、ミツバチを救うことが生物学的多様性を守る上でとても重要だとのことです。
(本問題の分かりやすいサイト:ミツバチがいなくなったら、いったいどうなるの?

そのミツバチを救うために、同キャンペーンでは40万袋ものオーガニックの花の種子がドイツ・スウェーデン・ベルギー・オランダなどの国で消費者に配られたそうです。

消費者はその種子を受けとることで、ミツバチが減少しているこの問題もキャンペーンを通じて知ることができますし、そのミツバチが好む花を植えることで、実際にミツバチに優しい環境を作ることができます。

こちらもとても重要で素敵なキャンペーンですね!

下記のNPO法人オーガニック協会のサイトにも、本キャンペーンの和訳ニュースが詳しく記載されてましたので、参考までに。

Nature & Moreの「ミツバチはオーガニックが好き」キャンペーン

Save our Soils(私達の土壌を守ろう!)

※「Save our Soils」キャンペーンロゴ【saveoursoils.comより】

「Save our Soils」キャンペーンはEosta社が2012年の12月5日の世界土壌デーにローンチしたキャンペーンです。

同社は、FAO(国連食糧農業機関)やWWF(世界自然保護基金)を含む約200の国際機関やパートナーを巻き込んで、地球の貴重な資源である「土壌」を守っていこう!と呼びかけました。

キャンペーンサイトにてFAO(国連食糧農業機関)の副事務局長である、Alexander Müller氏が下記のように語っています。

もし私達が、私達の食料生産の基礎でありエコシステム(生態系)である「土壌」を守らなければ、将来私たちは重大な問題に直面するだろう

(ミズキ翻訳)

同サイト(2012年時点)によると、国連欧州委員会の調査で、地球上では1分毎にサッカーコート30個分の肥沃な土地が破壊されており、その要因の大部分は地球に無責任な農業生産性を第一とする慣行農業)であると。

そしてその結果、私たちは毎年1,000万ヘクタールの農地を失っているとのことです。

これほどまでに土壌汚染や劣化は深刻なんですね。。

毎分ごとにサッカーコート30個分ですよ!信じられますか!!

そして、下記のような記事もみつけました。。

2015年のこの翻訳記事によれば、

FAOの推定によれば、全土壌の3分の1は劣化しており、土壌の浸食や沈下、透水性の不良や塩分増加、有機物の減少、栄養素の枯渇、土壌の酸性化や汚染、土地の非持続的な管理によって引き起こされるさまざまな現象が原因となっている。結果、新たな取り組みがなされない限り、一人当たりの生産的な耕地面積は、世界的な規模で見ると、2050年には1960年の水準のわずか4分の1となってしまうだろう。NPO法人オーガニック協会より】

ぼくは最初にこの記事を見たときは、ショックすぎて言葉になりませんでした。

私達が住む地球上の土壌の3分の1が劣化って、、

まともな土壌はあと3分の2しかないのか、、、

2050年には約100年前の水準の4分の1になるって、、、

いままでは漠然と、地球環境全体が悪化していることは色々なメデイアから「感じて」はいたものの、実際に「土壌」というカテゴリーでその推定値をみたら、その危機的状況を頭でも「理解」できました。

そして、本キャンペーンはこの問題の1つの「解決策」として有機農業を推奨していて、消費者に有機栽培で作られた食料を購入することを促しています。

このキャンペーンの発起人であり、nature&moreの創立者でもあるVolkert Engelsman氏は、本キャンペーンが研究所や政府機関などの各機関に向けてではなく「消費者」に焦点を当てている理由について、下記のように同キャンペーンサイトにて語っています。

消費者の判断がこの世界をつくる消費者がお金を使うことは、すなわち消費者が理想とする世界に自ら一票を投じることだ。私たちは健康的な食品と健全な土壌の関連性が、消費者にとって非常に大きな問題だということを発見した。健全な土壌は単なる私達の食料の「基礎」だけではなく、私達の「文明」そのものなのだ。土壌の状態は、気候変動・食物の病害や害虫への抵抗力・食料の栄養価など、食や農業の持続可能性(サステイナビリティー)に様々な影響を与えている。だからこのキャンペーンに小売業者など私達のパートナーが賛同してくれ、土壌に対する問題に取り組んでくれることを大変嬉しく思う。

(ミズキ翻訳)

※Eosta社のCEOでありNature & more の創立者のVolkert Engelsman氏【saveoursoils.comより】

消費者自身の判断が、それぞれが理想とする世界へ一票を投じることであるということを、消費者に伝え、それを促すことを目的としている本キャンペーン本当に素晴らしいです!

もちろん消費者が有機野菜やフルーツを購入することは、同社の利益になります。

ですが、本キャンペーンは消費者へ、地球にとって非常に重要な土壌の問題を広め、その解決策としての有機製品の購入を啓蒙し、それがEosta社自身の利益にもつながっている、とても優れたキャンペーンでありマーケティングだと思います!

※SOSキャンペーンロゴ【saveoursoils.comより】

また、本キャンペーンは、FAOやWWFのような世界的な機関だけでなく、多くの有名人やセレブにも賛同を得ています!

例えばあのジュリア・ロバーツやダライ・ラマなども本キャンペーンに参加しているんです!

※ジュリア・ロバーツのSave our Soilsキャンペーン参加saveoursoils.comより】

※ダライ・ラマのSave our Soilsキャンペーン参加Eosta社サイトより】

すごいですね!!

いかにこのキャンペーンが注目されたか、多くの有名人も含めて大事なキャンペーンだと思っているかが分かります。

また、同キャンペーンサイトによれば、2015年の2月時点で、本キャンペーンにて20万ユーロ(2016/09/28のレートで約2,260万円)の寄付が集まり、世界中の農家や各機関による土壌保護や関連した様々なキャンペーンに寄付されるようです。saveoursoils.comより】


以上、Eosta社のとても考えさせらるキャンペーンを3つ紹介しました。

いかがでしたでしょうか?

ぼくは最初にこのキャンペーンについて同社の担当者に説明してもらったときは、Eosta社はなんて素晴らしい企業なんだと心から感動しました!

もちろん各キャンペーンはEosta社の利益にも繋がる施策なのですが、それ以上に私達が住むこの地球に対する思いやりの心が企業としてみえたことに感動しました!!

長文になってしまいました。。

最後までご覧頂きありがとうございました。

それでは、オランダよりミズキでした^^

(前回記事もぜひご覧ください:Eosta社の概要Eosta社のマーケティングがスゴイ!

スポンサーリンク