「オーガニックは解決策の1つ!(Organic is part of the solution!)」オランダ有機専門流通企業Eosta社のキャンペーン【9月25日はSDGs(持続可能な開発目標)の日】

みなさん、お久しぶりです!オランダのミズキです。

今日はオランダのオーガニック専門流通企業のEosta社が、SDGs(持続可能な開発目標)が国連で採択された日である、9月25日に発表した新しいキャンペーンについてご紹介します。

Eosta社より提供

現在、ニューヨークの国連本部で総会が開かれSDGsの進捗状況が話し合われていますし、国連気候行動サミットなども同時に開かれて、注目されていますね。

そんな中で、Eosta社が2019年9月25日に、「オーガニックは解決策の1つ!(Organic is part of the solution!)」いう新しいキャンペーンを発表しましたので、ご紹介したいと思います。

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色々な農業の形があり、それぞれにメリット・デメリットがあるかと思います。

ぼく自身は有機農業だけがいいとは思っていませんが(実際にオランダで慣行農法だけど、サスティナブルな事例も数多く沢山みています)、有機農業について考えるきっかけになれば嬉しいです。

ては、詳しくみてみましょう。

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さくっと概要を知りたい方はこちらへ

「オーガニックは解決策の1つ!(Organic is part of the solution!)」 キャンペーンの概要

本キャンペーンは、SDGsを達成するために、オーガニック農業が1つの解決策になることを、様々な研究論文をベースに訴えるキャンペーンです。

具体的には有機農業に関した研究論文をメタ分析により1つのレポートにまとめており、それを広めることで、有機農業やその消費について啓蒙するキャンペーンとなっています。

Eosta社より提供

Eosta社のCEOであるVolkert Engelsman氏は、同キャンペーンのプレスリリースにて下記のように言っています。

現在、私達は気候変動・健康・生物多様性に対する大きな危機の渦中にいて、現実的で実行可能な解決策に注力することは非常に重要だ。

私達は有機農業がもたらすポジティブな影響を確信しているし、今回のレポートでも数多くのポジティブな側面が見つかった。

このレポートとともに、欧州・アジア・北米のオーガニック関連組織と一緒に、世界中に持続可能な有機農業をさらに促進していきたい。

このように、本レポートは、2030年までにSDGsを達成するためには、有機農業のような持続可能な農業を世界中で推進する必要があるということを後押しする内容になっています。

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有機農業(オーガニック農業)がもたらすポジティブなインパクトとは?

では、具体的に本レポートの内容を簡単にご紹介します。

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上記の図が分かりやすいのですが、本レポートでは、全部で17あるSDGsの内、農業が密接に関連する8のゴールについて、様々な研究論文を元に有機農業がもたらすポジティブな側面や重要性を述べています。

下記にそれぞれ簡単に説明(日本語訳)しながら、レポート内で、ぼくが気になったデータを記載しますね!

※各データの詳細の参照元は本記事最後にご紹介する本レポート原文にあります。

【SDG 13】 気候変動に具体的な対策を(Climate Action):有機農業は、炭素を大気中から隔離して土壌中の栄養物にする!

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FAO(国際連合食糧農業機関)のレポート「Soil Organic Carbon, The Hidden Potential 」によれば、

気候変動、土地劣化、生物多様性の減少が起きているなかで、土壌は世界で最も貴重な資源の一つになっており、

土壌は主要な炭素の貯蔵場所で、大気中と地球上の全ての植物を合わせた以上の炭素を貯蔵しているとのこと。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は農業と気候変動、そして土壌との密接な関わりを指摘しており、パリ協定での農業の重要な役割を指摘しているという。

IPCCによると、農業・林業・その他の土地利用は人類が排出する温室効果ガスの23%を生み出しているそうだ。

また、自然は化石燃料や産業が排出する二酸化炭素の約3割を吸収しているのため、適切な土地の管理が解決策の1つとしても訴えている。

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気候変動に関しては、有機農業やその他の持続可能な農業は大きなメリットをもっている。

それは、土壌は大気中の二酸化炭素を吸収し、土壌の栄養物にできることだ (炭素隔離)【Lal 2007】。

また、化学農薬や肥料の生産が農業において、二番目に大きな二酸化炭素排出源になっているそうだ。

以上のように、有機農業が育む健康的な土壌は、大気中から炭素を吸収でき、二酸化炭素を大量に排出する化学農薬・肥料を使わない点で、1つの解決策となりえる。

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【SDG 15】 陸の豊かさを守ろう(Life on Land):生物多様性の観点で、有機農業は慣行農法より優れている

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世界的な土地劣化や生物多様性の減少は深刻なレベルで進んでいる。

国連の調査によると、世界中で100万種以上の生物が危機に直面しているそうだ。

その主な原因の一つが、集約農業だ。

国連のレポート(Special Rapporteur on the right to food)では、

農薬の大量使用や乱用によって、土壌や水資源は汚染され、多くの生物が消え、自然界の天敵昆虫(害虫を食べてくれる虫)も死滅し、食物の栄養価も下げていると述べている。

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生物多様性の観点では、有機農業は慣行農業(通常の農業)に比べて、重要な役割を持つことが指摘されている。

研究では、有機的に管理された土地には、そうでない土地に比べて30%以上の動物と花、50%以上の植物が存在しているという【Bengtsson et al., 2005】

Organic Agriculture and the Sustainable Development Goalsのレポートでは、ポリネーター(受粉を行う動物)や、その他の昆虫、関連して野鳥の生態、花の多様性に関連した影響について分析している。

また、生物多様性に関しては、生物の約25%が土の中に存在している。

FAO(国際連合食糧農業機関)では、多くの国で、集約的な農業が土壌を劣化させていることを指摘し、有機農業が持続可能な農法の5つの内の1つであると、有機農業を推奨している

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【SDG 6】安全な水とトイレを世界中に(Clean Water and Sanitation):有機農業は私達の水を守る

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地球は70%が水で覆われており、その内3%が淡水である。その淡水の3分の2は氷河なので使用できない。残り3分の1の淡水の内、70%以上が農業で使用されている。

化学農薬や化学肥料は地表に留まるだけでなく、土壌や地下水を通って私達の水システムまで届いている。

WWF(世界自然保護基金)によれば、過去50年で、化学農薬と化学肥料の使用量は26倍にも増加しており、自然への深刻な汚染を与えているという。

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それらの汚染は金銭的にも大きな負荷となることが、2011年のフランス政府のレポートでも指摘されており、調査ではフランスの地下水の汚染、特に硝酸態窒素と農薬を浄化するには5,220億ユーロ(約62兆円)が必要との結果となったそうだ(硝酸態窒素1キロ当り70ユーロ、農薬1キロ当り6万ユーロ)。

有機農業は化学肥料(硝酸態窒素の元)および化学農薬を使わない点で、水を汚染することはない。

さらに、有機農業は堆肥(コンポスト)や利用したり、輪作(ローテーション)や緑肥を利用することで、健康的な土壌を維持している。

健康的な土壌は水の保水性が高く、水を多く必要とせず、干ばつなどにも対応できる力がある。同様に健康的な土壌を排水性(水はけ)よく、豪雨時でも土壌の流出が抑えられる。

そのため、有機農業は私達の水を守る解決策の1つとなれる

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【SDG 14 】海の豊かさを守ろう(Life Below Water):農業が海のデッドゾーンを拡大する原因になっている

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私達の海の大きな問題の一つが、デッドゾーン(海の無酸素、低酸素水域の事)の拡大により、生物が育たなくなっていることだ。

栄養素(窒素・リン)が土壌から流出して、地下水や運河を経由して、川や海に到達すると、植物性プランクトンや藻を大量発生させる(=富栄養化)。

藻が死んで、海底に沈むと微生物によって分解される際に酸素が除かれ、低酸素水域を作りだし、デッドゾーンと呼ばれている。

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欧州環境機関のレポートによると、リンは淡水の富栄養化、窒素は海水の富栄養化に大きく寄与してるとのこと。

欧州環境機関はそれらの汚染には農業、家庭、産業が大きく影響しており、窒素汚染は主に農業から、リン汚染は家庭および産業からきていると指摘している。

農業においては、主な窒素は肥料と糞尿からきているという。

有機農業では化学肥料と使わない点で、化学肥料による汚染はないが、糞尿を利用し、それが地下水に届けば、デッドゾーンの原因となる。

本レポートでは、窒素汚染を削減するためには、地域ごとに畜産と作物生産農家が連帯をし、再生可能な資源を使うことが解決策になるという研究を紹介している。

有機農業は、輪作やバイオマスと栄養素の再利用などを行うことで、海の豊かさを守る解決策の1つになれるという。

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【SDG 12】 つくる責任、つかう責任(Responsible Consumption and Production):オーガニック製品は、持続可能な生産と消費を両立している

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FAO(国際連合食糧農業機関)によると、持続可能な農業は健全な生態系を育み、土地・水・天然資源をを持続可能な形で管理しながら、世界の食の安全保障に寄与することだ、としている。

私達の食料の95%以上が土壌から直接的・間接的に得られていることを考慮すると、健全な生態系を維持し、土地や水を管理するには、健康的かつ生きた土壌を維持・管理することが重要となる。

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残念ながら、FAOによると、現在私達の土壌は深刻な危機にひんしており、食の安全保障のみならず、気候変動、水システム、生物多様性にもネガティブな影響をもたらしているそうだ。

言い換えれば、私達の土壌は、SDG2「飢餓をゼロに」、SDG13「気候変動に具体的な対策を」、SDG6「安全な水とトイレを世界中に」、SDG15「陸の豊かさを守ろう」の少なくても4つの持続可能な開発目標に関連している

FAOは土壌の質を肥沃さを維持・改善するために、5つの持続可能な農業を推進しており、アグロエコロジー、アグロフォレストリー、不耕起栽培、コンサベーションアグリカルチャー、有機農業となっている。

これら5つの中で、唯一有機農業だけが、独立した管理システムをもっており、厳格な国際基準があり、消費者に認識され、信頼される仕組みをもつ。

つまり、欧州の有機認証マークが製品についていれば、有機製品だと保証されており、「オーガニック」は欧州のルールで守られている。

SDG 12「 つくる責任、つかう責任」において、オーガニック製品は、持続可能な生産と消費を両立している。

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【SDG 8】働きがいも、経済成長も(Decent Work and Economic Growth):毎年2万人が農薬によって死亡している

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ILO(国際労働機関)によると、20億人の労働人口の90%(世界の61%の労働人口)は非公式な形で労働しており、それらの90%の人口は地方に住み、農業に従事しているそうだ。

ILOによるとそれらの労働者は不適切な労働環境に置かれており、有害で危険な化学物質にさらされている場合もあるという。

同様に、国連の環境議会レポートでは、世界中で毎年2,500万人農業従事者が、予期せず農薬による被害を被っているそう。

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また、WHO(世界保健機関)によると、毎年約500万人が予期せず、農薬によって深刻な病気や負傷をしており、毎年2万人が農薬によって死亡していると推測されている。

農薬の被害は、特に途上国で公衆衛生上の問題になっているが、それは農家だけでなく、農場近くに住む住人にも影響をおよぼしている。

こういった観点でも、特に途上国において、化学製品が禁止されている有機農業は、慣行農業に比べて健康的な労働環境となっている

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【SDG 3】すべての人に健康と福祉を(Good Health and Well-Being):有機製品は健康的!?、農薬が子どもたちへの大きなリスクとなっている。

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健康については、「健康」の定義や、栄養と健康の関係性など、様々な観点で色々な議論がある。

一方では、オーガニック製品はそうでない製品に比べて健康的だという研究結果もあれば、両者に違いはないという研究結果もある。

だが、本レポートでは、オーガニックでない製品が、オーガニック製品に比べて健康的であるという研究は一つも見つけることができなかったそう。

British Journal of Nutritionの研究では、有機製品は、そうでない製品に比べて、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質、生物活性物質がより多く含まれていると述べている。

レポート「Higher antioxidant and lower cadmium concentrations and lower incidence of pesticide residues in organically grown crops(有機作物には抗酸化物質が多く、カドニウムおよび残留農薬が少ない)」は、343の研究論文からなるメタ分析研究で、有機製品とその他の製品の健康上の利益や栄養素を比較している。

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農業がもたらす健康上の影響については、農薬が使われている地域にする住人への影響も指摘されている。

Fielding School of Public Health at the University of Californiaが行った研究分析では、農薬が胎児および乳児の発育に与える影響を調査し、研究者は一般的に広く使われている農薬が、自閉症と大きく関連していることを発見したそうだ。

同様に、WHOも毒性の高い農薬が、子どもたちを深刻なリスクにさらしている点を指摘しているそう。

さらに、WHOは、農薬に関して厳しいルールがない途上国においては、農薬による環境汚染が食品、飲水に影響を与える点も指摘している。

有機農業は化学農薬を使用しない点で、これらの汚染についての問題がない。

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【SDG 2】 飢餓をゼロに(Zero Hunger):飢餓を撲滅にするためには、肥沃な土壌を保全することが重要

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私達の食料の95%以上が土壌から直接的・間接的に得られていることを考慮すると、飢餓をゼロにする上で、私達の土壌を守ることが重要となる

私達は、毎分サッカー場30個分の肥沃な土壌を破壊しており、それは主に集約農業が理由となっている。

私達は毎年1,000万ヘクタールの肥沃な土壌を失っている。

結果として、地球上の土壌の内、25%はひどく劣化している

2050年に100億人になる世界の人口の食を満たすには、土壌の質および多様性、そして生産性と持続可能性のバランスを保つことが非常に重要となる。

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FAO(国際連合食糧農業機関)は、土壌の質と肥沃さを保つために有機農業を含む5つの実行可能な農業を推進しており、持続可能な形で土壌を管理すれば、現在より58%多く食料を生産できると試算しているそうだ。

よって、飢餓を撲滅にするためには、肥沃な土壌を保全することが重要になる。

有機農業は化学肥料を使わず、コンポスト(堆肥)などにより植物だけでなく、土壌にも栄養を与えることができる。

研究では、化学物質を使用しない農業は、土中のバイオマスの質がよく、成長調整物質が多くあり、土壌の微生物と生物の多様性が多いことが確認されているそうだ。

また、食の安全保障に関して、UNEP(国際連合環境計画)とUNCTAD(国際連合貿易開発会議)の共同研究レポートでは、「アフリカの食の安全保障において、有機農業は慣行農業よりも、アフリカの食の安全保障に大きく貢献し、長期的にみても持続可能である」述べているそうだ。

また、飢餓の撲滅は気候変動に対応しながら行う必要があり、長い期間の物理的なストレスのなか、食料生産をすることが重要になる。

FAOの研究では、有機農業は慣行農業に比べて、干ばつ時の生産量が高いとの結果もでているそうだ。

有機農業は不毛な土地を、肥沃な農地に変えることもできる点で、成功をもたらしている。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

日本では、有機野菜はまだまだ高すぎて、なかなか手が届かないイメージもありますが、ぼくが住んでるオランダでは、市場もどんどん拡大しており(専門の大きいスーパーも全国にあります)、価格も手頃で、オーガニックがとても身近に感じます。

その理由の一つに、消費者が「健康にいい」という理由だけでなく、「環境にいい」との意識でオーガニックを求めている点も大きいのかなと感じています(その分市場が拡大している)。

前述の通り、ぼくはオランダの慣行農業でも持続可能なやり方も色々と見てきたので(また効率性・生産性も考慮する必要もあると思います)、有機農業だけが全てではないとは思っていますが、長期的な視点で農業の「持続可能性」を考えたときに、有機農業は1つの解決策だと思います。

また、有機農業に限らず、食料生産をいかに持続可能な形で行うかは今後ますます重要になってくる考えだと思っています(オランダの農業や施設園芸はそういった観点でも優れた点が沢山あります)。

少しでもご参考になる記事でしたら、幸いです。

なお、本キャンペーンは欧州各国や北米の有機団体などが賛同しております。

日本への普及に関しては、ぼくが担当者と縁がありお声掛け頂きました。ぜひお読み頂いた方も、未来の地球のための情報として、シェア&拡散を頂ければ嬉しいです!

簡単にといいつつ、重要な点が多く、長文になってしまいました。。

ご覧頂き誠にありがとうございました!

Eosta社より提供

下記原文(英文)にはより詳細はデータが記載されておりますので、ご興味ある方はご覧ください。

レポート原文はこらちのリンクより

なお、Eosta社については下記記事をご参照ください。

オランダで有機野菜・フルーツ専門の大手流通会社であるEosta社を訪ねてきました。 色々と話を聞いてきて非常に勉強になることが多かったので...
こんにちは、オランダよりミズキ(@yMIZUKI8)です。 オランダ有機野菜・フルーツ流通大手のEosta社の訪問レポ最終回となります。 ...

※本記事で使用している画像は、Eosta社のプロジェクト担当者の許可を得て掲載しています。

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